2013年2月4日月曜日

ACCとAHA 急性冠症候群・冠動脈疾患の基本情報を統一


急性冠症候群・冠動脈疾患の基本情報を統一へ,その目的は?

■ACCとAHAは1月28日,急性冠症候群(ACS)と冠動脈疾患(CAD)の研究や臨床上重要な基本情報および定義の標準化を目指すと発表した。

■公表された基本情報・定義集では,患者背景や治療内容,予後などの情報が7つにカテゴライズされている。
ACCによると,標準化は臨床研究の分野だけでなく,電子カルテへの導入による日常臨床での適用も想定したものだという。
なお,編纂には米国救急医学会や米国胸部外科学会,救急看護師や救急救命士の団体も協力している。

◎ 規制当局メンバーも参画
■定義集は,米国および各国のACSレジストリーやこれまでの各種臨床試験で使用されているデータに基づき作成された。
さらに,米食品医薬品局(FDA)のメンバーも参画し,薬剤やデバイスの評価に用いる主要な項目とのすり合わせが実施された。ACSとCADに関する基本情報の概要は次の通り。

1. 患者情報:性や生年月日,人種,入院紹介のソース,健康保険のタイプなど
2. 既往と危険因子:狭心症や心不全の既往,バイパス術歴,各種動脈硬化性疾患の有無,インフルエンザや肺炎球菌
 ワクチンの接種歴など
3. 臨床所見:症状が発現した日時,心拍数や初回受診時の収縮期血圧,身長・体重など
4. 診断方法:心電図および初回心電図の実施場所,LDLおよびHDLコレステロール値や血糖値など
5. 侵襲的治療介入:植え込み型除細動器(ICD)のタイプや非侵襲的ストレステストの実施日,ACS責任病変,左冠
    動脈主幹部の狭窄度など
6. 薬物療法:使用した抗凝固薬の量,発症24時間以内のβ遮断薬の使用,退院時のアスピリン処方の有無など
7. 予後:入院中の死亡,再発,出血に関する情報(TIMIやGUSTO分類,出血箇所など)あるいは外科治療の有無,
   退院時の状態(自宅,多施設への転院)ほか

◎研究,臨床現場のプラットフォーム共通化で患者の予後改善を目指す
■ACCはこの定義集を,臨床研究や患者登録システム,構造化レポートの他,電子カルテに適用することも視野に入れていると説明。
 
■従来,臨床あるいは研究の場において異なる使われ方をしてきた基本情報や定義を共通のプラットフォームとすることで,多くの研究や患者レジストリー間の比較検討や,病院や地域,国など異なるレベルでの診療の質評価が容易になるなど,多くのメリットが期待できる。

  さらに,臨床試験と実地臨床の乖離の解消や,心血管疾患患者の予後の改善が期待される。


出典  MT Pro 2013.1.31
版権  メディカルトリビューン社