2013年7月24日水曜日

卵円孔開存と無症候性脳血管疾患および虚血性脳卒中

集団ベースのコホートにおける卵円孔開存、無症候性脳血管疾患および虚血性脳卒中

Patent Foramen Ovale, Subclinical Cerebrovascular Disease, and Ischemic Stroke in a Population-Based Cohort


背景PFOは、脳卒中患者において、脳卒中ではない対照者よりも頻繁に認められる。しかし、一般集団におけるPFO関連の脳卒中リスクは十分には確立されておらず、PFOと無症候性脳梗塞(SBI)との関係は不明

方法地域集団からサンプリングした脳卒中の既往がない39歳以上の1,100人を対象に、生理食塩水の注入による造影を行う経胸壁心エコー検査によってPFOの有無を評価し、平均11年間の追跡調査を行った。さらに、参加者のうち360人は、SBIの検出のために脳磁気共鳴画像検査(MRI)を受けた。すでに確立されている脳卒中の危険因子で補正後に、PFOと関連する脳卒中のリスクを評価し、PFOの有無によってSBIが生じるオッズを検討した。

結果参加者のうち164人(14.9%)がPFOを有していた。平均11.0±4.5年の追跡期間中に、虚血性脳卒中が111件(10.1%)発生し、PFO+群では15件(9.2%)、PFO-群では96件(10.3%)であった。12.5年間の脳卒中の累積リスクは、PFO+群では10.1%(標準誤差:2.5%)、PFO-群では10.4%(標準誤差:1.1%)であった(p=0.46)。PFOと脳卒中についての補正ハザード比は、1.10(95%信頼区間[CI]:0.64~1.91)であった。MRIを実施したサブコホートにおいて、PFOはSBIとは関連していなかった(補正オッズ比:1.15、95%CI:0.50~2.62)。

結論この地域集団から成るコホートにおいて、PFOは、臨床的脳卒中または無症候性脳血管疾患のリスク増加とは関連していなかった。J Am Coll Cardiol. 2013;62(1):35-41

原文抄録
http://content.onlinejacc.org/article.aspx?articleid=1686317
出典
https://ds-pharma.jp/literature/jacc/article/2013/07_2_01.html


<参考>
ASDと卵円孔開存の相違

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1041906000
http://www.moon.sannet.ne.jp/naruto2/asd2.html
■卵円孔開存の頻度は約25%大きさは1~19mm(平均4.9mm)。
最近では、心房中間隔欠損と判断しても、10mm以下は1歳までに自然閉鎖することが多いことがわかってきた。
■1歳以上で、10mm以上の孔は自然閉鎖しないと言われてる。
■卵円孔開存は左房側からの卵円孔弁によっておおわれた状態なので左房の圧が右房より高いにもかかわらず、通常は左→右シャントは生じないないようになっている。
しかし、負荷(いきむなど)をかけたり肺梗塞を発症したりすると右→左シャントが起きる。


<私的コメント>
心エコーによる
卵円孔開存の診断率、ASDとの鑑別はどうなのでしょうか。