2012年10月26日金曜日

心臓、がんにならないのは

心臓分泌ホルモンががん転移防ぐ仕組み解明 循環器病センター
                                ■国立循環器病研究センターは(2012年10月)23日、心臓から分泌されるホルモンががんの転移を防ぐ仕組みを突き止めたと発表した。
ホルモンが血管を保護し、がん細胞が血管のすき間から侵入するのを妨げていた。
 
■がんが心臓に転移しない理由を明らかにした成果で、他の臓器へのがん転移を防ぐ治療法に応用できる可能性もあるという。
 
■がんは様々な臓器に転移するが、一般に心臓では起こらない。
研究チームは心臓から分泌されるホルモンで、心不全の治療に使われる「心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)」を投与したがん患者は、がんの再発が少ないことを見つけた。

■そこで、遺伝子組み換え技術を使い、ANPと結合するたんぱく質が血管にできないマウスを作った。
がん細胞を投与し2週間後の肺への転移具合をみると、通常の約3倍に増え、心臓にも転移した。
 
■逆に結合たんぱく質が過剰にできるマウスは転移が約15%に減った。
 
■ANPは血管を保護してがん細胞の通過を妨げていた。
動物実験では肺や乳、大腸がんなどで転移を防ぐ効果を確認した。
ただし、もともとあるがんを小さくする作用はないという。
 
■臨床応用では、がんの摘出手術の際に投与する方法が考えられる。
血管内のがん細胞は転移しなければ数日で死滅する。
この期間をANPで守れば、転移を防げる可能性があるという。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2304I_T21C12A0CR8000/

出典 日経新聞・Web刊 2012.10.26
版権 日経新聞社


<関連サイト> 
心臓腫瘍
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000240.html
■全悪性腫瘍の10~20 %が心臓へ転移すると言われています。(転移性心臓腫瘍)
■原発巣としては、肺癌、乳癌、悪性リンパ腫、白血病などが挙げられます。
原発性悪性腫瘍の心臓、心膜転移率を見てみると、白血病、悪性黒色腫で40~50 %、甲状腺癌、肺癌、肉腫で30 %、乳癌、悪性リンパ腫、食道癌、腎臓癌で20 %程度と考えられています。